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きらきらのてっぺん

たとえいまはふたしかなものでも

舞台『三婆』を終えて

三婆。終わってしまいましたね。

すごい現場だった。今までジャニオタをしていて初めての光景だったとも言えるかもしれない。新橋演舞場にはたくさんのおじいさん・おばあさん世代の方々。映像技術に頼ることなく、当時の雰囲気まで作り込まれたセット。まさに喜劇と言えるような、要所要所で起きる大きな笑い声。そんな中、舞台に立って声を響かせる自担の姿。ジャニーズの舞台とはまったく違う場所に、安井くんはいた。

 

2月25日、情報局メールでその情報を見た瞬間、わたしは嬉しさでいっぱいになった。会社でそのメールを見て、にやにやしてしまうのを抑えられなかったことを覚えている。まだまだずーっと先のことだったけれど、安井くんが掴んできた大きな大きなお仕事なことは確かだったし、完全にジャニーズの仲間がいない現場というのも安井くんにとって初めての経験だったから。何より、安井くんを求めてくれるお仕事があるということ。この不安定なJr.の中で半年以上先の仕事が既に決まっているということ。まだまだ不確かなものだけれど、ジャニーズ事務所の中で安井くんは確かなものに近付いているのを感じた。

それから幕が開く11/1まで、色んなことがあった。本当に色んなことが。三婆の稽古が始まる直前まで、ドリボやコンサートのバックについていたね。ラジオの仕事も毎週土曜日にこなしながら、吸収することばかり、と話す稽古が始まった。台詞量もさることながらそこにかかる重圧もいつもと桁違いだったと思う。台詞を頭に入れていったつもりだけど台本を一応持っていったら、現場に行くとみんな台本を持っていなくて驚いたこととか。"本物"の舞台を作ることをきっと肌で感じたんだろうな。

だけれど、そこで足踏みするのではなく、足掻くのではなく、安井くんは『教わること』を選んだ。いくら1番年下とはいえこの年で、それなりに芸能界歴が長い中で、教えてもらう、勉強させてもらう側に完全に回れるのは安井くんの凄いところだと思う。ああ、この人たちはすごい、って素直に認められて、少しでもその人たちに近付こうと、自分のものにしようと頑張れるそんな姿勢が、わたしの大好きな安井くんだった。

 

辰夫は、すごく素直な青年だ。

八百屋として真面目に働きつつ、真っ直ぐにお花さんのことが好きで。「汗拭いて」「扇いで」と言われれば素直に「はい!」と従う純朴さが可愛らしい。感情の変化も分かりやすくて、お花さんが奥さんに大学出の花婿さんを探してあげるから、と言われたときには「それはだめだよ!俺は怒るよ!」と拗ねてみる。その、嫉妬の心でさえ素直に出せるところが真っ直ぐで単純で、若々しい。けれど、40代になったはずの20年後の辰夫も、「ほら見ろ~、知りたがってるじゃないか~!」と子供っぽく言っていたから、もうこの素直な可愛さは辰夫の性格なんだろうな!

人に対しては人懐こくて義理に熱くて、一度見かけただけの重助さんに「おじいさんはあの時の……!」と声をかけるし、お花さんと出ていくシーンでは、意地を張るお花さんとお松さんの心情を汲んでか、お花さんの代わりに「本当に、お世話になりました!」と深々と頭を下げる。人のことをしっかり見ていて、大事にしている人だ。お花さんに求められれば愛してるの一言もキスもいつでも出来てしまうくらい、誠実に。

そこにお茶目要素としてかっこつけた部分が加わって、ジェームス・ディーンに憧れてリーゼントにしちゃったり、キスする前や結婚報告の時には一々髪型を整えてキメ顔をする。そこはさすがのジャニーズ、恥じらいなくしっかりキメるんだけれど、お話しの中ではスルーされていることが多くて笑いに変わる。

そんな魅力的な辰夫を、安井くんは演じきっていた。舞台に立っていたのは、安井くんではなく辰夫だった。それは逆に安井くんに会いたい!と思うほど、この1ヶ月観てきた人間は辰夫だった。だけれどそんな辰夫の後、ラジオだったり少クラの収録に出て「おーまいがー!」をキメる安井くんは、本人も言っていたけれどギャップがすごい。そこはさすがの切り替えの速さを感じた。

 

そして何より安井くんは、この舞台でたくさんの人に愛された。

あんな大御所だらけの中、尻込みせずに「一人の楽屋は寂しいので……遊びに行ってもいいですか?」と段田さんや緑子さんの楽屋で過ごしているとか、緑子さんに普段のアイドルの活動を見せてみたりとか、しのぶさんと出前を取って一緒に食べてみたりとか……。ジャニーズJr.でいる時にはまとめ役ポジションだから少し気づきにくいものの、安井くんは年上の人の懐に入り込んで上手な距離感で甘えられる人だ。だからこそ、3幕のアドリブ部分ではニコニコと主演の3人や段田さんと笑い合う姿が日に日に増えていっていて、わたしはそれがひどく感慨深かった。「しのぶさんのこと、めっちゃ好きなの!」とラジオで言えちゃうのはそれだけ仲がいいからで、可愛がられているからなんだろう。あ、書いていて涙ぐんできた。安井くんのそういうところが、どこに出しても不安にならない部分だし、信用できる部分だと心から思う。

また、安井くんは「おばあちゃんに来てもらえてよかった」と言った。それは盲点だった。確かに今回はおばあちゃん世代の人たちが1番すんなりと楽しめる舞台だったと思うし、いつも孫の活動を観に来てくれたとはいえ、あんな大きな舞台に立つ孫は、本当に自慢の孫だったんじゃないかな……。

 

そしてそして、何より。新橋演舞場に訪れる安井くん目当てのお客さんたち。その多さ。

普段の舞台とは違って、客層がグンと上、というより二世代ぐらい上の方々が多い中で、わたしたちのような若者世代はやはり目立つ。約1ヶ月の長丁場だったし、そんなに出番が多いわけでもないし、日替わりのネタがあったりするわけでもなければ、見た目だっていつものジャニーズらしさのない昭和の男だ。そんな中で、安井くんを観に来るお客さんがいつもたくさんいたところ。これは本当に、誇れることだと思う。千秋楽なんて、来る人来る人が若い人ばかりで、安井くんの晴れ舞台を見届けようと思った人たちがこんなにいることが、わたしは嬉しかった。まさに安井くんがジャニーズで頑張ってきたからこそ、安井担も他担の方も、普段とはまったく違うこの現場に足を運んでくれたんだろうな。

 

安井くんが起用された理由もそこにあるのだとしたら、わたしはひどく嬉しい。

この舞台は安井くんが出ていなければ観なかった舞台だったし、客層だってもっとおじいちゃんおばあちゃんばかりだっただろう。そして、それでも埋まらないことはないはずだと思った。だけれどやっぱり、若いわたしたちが観るべき意味もそこにあった舞台だと思う。日本の高齢化社会の問題だとか、昔の文化に触れることだとか、わたしたちが現実問題としてまだ感じられていないことが、この舞台の中には笑いに隠れて散りばめられていた。

おばあちゃん3人のドタバタな喜劇、であることは確かながら、僅かな切なさを感じさせられるからだ。それはもちろん、3人の演技がうまいからでもある。3人のおばあちゃんはとても強く、芯の通った女性だ。我が強くて個性的で、自分勝手。だけれど、どこか寂しげで憎めなく、守ってあげたくなる。それは、3人とも共通の『武市浩造』という人物を亡くしたからでもある。その人は、それぞれにとって支えとなる大事な人だった。それが突然いなくなったとき、悲しむ間もなく生きていくそんなおばあちゃんたち。ふとしたときにそれを切なく感じるのだけれど、それすら笑える客席のおじいちゃんおばあちゃんの強さも同時に感じられた。そしてきっと、そこが若いわたしたちが観るべき意味だったんだろうし、本当に観られてよかったと思う。

 

終わってみればあっという間だった。けれど本当に、安井くんにとって濃い時間となっただろうと思う。わたしにとっても、この三婆という舞台は今後とも大切にしていきたい作品だと思えたし、それこそわたしがおばあちゃんになったときに、また違った見方で笑いたい。そんなときに安井くんが、重助さん役で出てたらとても素敵だな。そんな未来が来ないとも限らないでしょう!

安井くん、おつかれさまでした。そしてありがとう。また新しい景色を見せてくれたね。安井くんの声はやっぱりよく通るし、堂々とした姿がとても素敵でした。晴れ晴れとした顔でお辞儀をするカーテンコール、いつも涙ぐんで見つめていたよ。

この経験は安井くんの宝物だし、これからにしっかり生かしていけると確信しています。次はアイドルの安井くんに、新しい景色を見せてもらいたいです。早くアイドル安井謙太郎に、素敵な6人のメンバーに囲まれた安井謙太郎に、会いたいです。

 

とにかく一言で言うと、最高の舞台でした!ありがとう。