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きらきらのてっぺん

たとえいまはふたしかなものでも

風 is a Doll? ~ふうまくんとやすいくん~

はじめはあんまり気が進まなかった。

その理由はやすいくんの久しぶりのバックの仕事であるということ、デリケートなセクシー界隈であること、そして何よりも、大親友の風磨くんと一緒にコンサートをやること、というのが1番大きかった。

やすいくんが以前言っていた、「風磨は仕事仲間としては見れない」。その言葉がわたしにはどうしても引っかかっていたから。ふたりは本当に、プライベートではいつも一緒にいるし、菊池家とお父さんの実家に一緒に遊びに行くぐらいの超仲良しで。だからこそ、仕事で出会った関係とはいえ、そんな垣根を越えた親友なんだろうなと言うのは説明されなくても感じられて。これについてはやすいくんも雑誌で「ホントは風磨と仕事したくなかったんだ」と語ってる。友達としての付き合いが長いから仕事をして関係性が変わってしまったら、と。そう思うくらいの相手のバックにつく。それが対等な立場ならさておき、主役である風磨くんを立てる形でやすいくんは後ろにつく。

そのことについてはどう思うのだろうか?内輪ノリになってしまって、ヘタに評価を下げないだろうか。そんな勝手なわたしの心配は初日の幕が開いてふっとんだ。

 

TLに流れてきたのは、すごくよかったという旨の感想ばかり。内輪で楽しんでいるだけでは作れない、魅せたかったものを創り上げてくれたんだというのを、まずその感想の波で感じた。また、風磨くんとやすいくんが、「仕事するの初めて!なんか目見れない!」「キモ!でもおれも!」(レポからのニュアンス)とのことを言っていたと聞いて、それがまたいとおしくて。普段の仲良しのふたりではない、仕事仲間のふたりがTDCにいるんだと思った。けれどまだ捨てきれない照れがMCになると覗くのがまたかわいらしい。それと同時にわたしは、やすいくんが風磨くんと仕事をしたくないのは、「ふたりなら絶対にいいものが作れる」との確信があるからこそではないかとも思えた。同じものを見られるふたりだから、最高のものが作れると本人たちも思っているのではないかと。けれど次を望める環境じゃないからそれを知ってしまいたくないのではないかと。これはもう、完全に妄想だけれど、そう思わせるくらいにすごく楽しかった!の感想の多いコンサートで、わたしも入るのが楽しみになった。

 

わたしは最終日の5日の昼夜、入ることになっていた。昼公演は自分で取ったアリーナの5列目という良席で、夜公演はフォロワーさんに譲っていただいた3バル。昼公演入ってまず思ったことは、それはそれは楽しい公演だったということ。何が楽しいって、1番は出演者がみんな楽しそうだから。こんなにもなんのしがらみもなく、ただただ楽しそうなコンサートを見られたのは初めてなんじゃないかな。それくらい、風磨くんが、みんなが創り上げたものは自信が持てるものだったのだろうと思うし、やりたかったことなんだろうなと感じた。

それは、やすいくんも一緒で。風磨くんの後ろでパキパキ踊っている姿もどこかいつもと違って見えて。かっこつけるところではいつも以上にかっこつけながらも、普段見られるような、全員おれのファンにしてやる、というようなメラメラ感は感じられなかった気がする。それは相手が風磨くんのファンだからなのだろうか。

何より感じたのは、風磨くんは自分を立てるためにJr.を使っているのではなく、Jr.のみんなと一緒に楽しみたいんだということ。自分の初めてのソロコンなのに。それは、自分だけじゃ頼りないからなんていう不安からでも、Jr.人気にあやかってやろうという策略からでもなく、ただ単純に自分がそうしたいから。自分がみんなと一緒にこの夏を最高のものにしたいから。だからおれたち全員で。その気持ちに応えるようにJr.たちは全力で頑張るのとともに、やっぱりお前のソロコンなんだからお前が目立てよ!と背中を押してあげていた感じがする。それを1番感じたのもやはりやすいくんからだった。


風磨くんの世界が詰まった今までのソロ曲のひとつひとつが、いつもよりも居心地がよさそうにのびのびとそのセトリの中にいる。そして、そこに最初から存在していたようにバックで踊るJr.。

なにより、セトリの組み立てが最高だった!なんだろう、もはやずるいとでも言えてしまうんではないだろうかっていうくらい熱い。サマリーのイントロが響き渡るTDC?!そしてみんなで地上でぐるぐる回ってエアサーフラ?!天才!ところどころに散りばめられる茶番に、全力でふざけるメンバー。ふまやすのwonderなんて、まさかまさか2人の曲が見られるだなんて思わなかった!ふたりの雰囲気がとてもえっちで、振り付けも誘うようなものなのに、それでもやすいくんもお得意のべったりとくっつくような振りがなかったことが逆にまた生々しくて。最高だったなぁ。やすいくんのタトゥーシールもいつもより柔らかい歌い方も最高によかったし、なんか格段に歌がうまくなっていた……。コンサートはいつもあっと言う間ではあるけれど、こんなにあっと言う間に過ぎていく感覚が久し振りすぎて。風磨くんの魅せたいものをみんなで作り上げて詰め込んで。それがキラキラと輝いて目が離せなかった。


やすいくんと風磨くんは、真反対だけど根本が似ている。見た目も考えることも全然違うのに、それはそれは奥底が似てるんだ。だから気が合うし、反対の部分があるからこそ一緒にいて面白い。これは、いわばシンメとは真逆なんだと思う。シンメは似ているけど真逆であるべき存在だとわたしは思っていて。雰囲気やぱっと見、声質や動きは似ているけど、性格やプライベートではまったく交わることのない関係がシンメ。そしてそれの反対なふまやすは、きっと大親友というくくりになるのだろうと思う。わたしたちがわからないくらいのところで、ふまやすはお互いにわかりあっているんだ。今回、まざまざとそれを見せ付けられた気がして、なんとも甘酸っぱいきもちになる。すっぱいと思って食べたグレープフルーツが、想像以上に甘かったみたいなちょっと不思議なあまさ。

Jr.ひとりひとりを紹介して、幕の裏に捌けていく中で、最後に「そして……安井謙太郎!」と紹介されるのは、やすいくんが今回バックについたJr.の中でのメインだったからではなくて、風磨くんの1番の仲良しだったからなのではないかと思った。最終日、名前が呼ばれてこっちに手を振ってから、風磨とハイタッチしたその手をぐいと引いてハグをしたふたりの姿がいとおしかった。


結果、一緒に仕事をしたふたりは最高のものを魅せてくれた。わたしたちの心もしっかりと盗賊団に奪われてしまった。この時間がずっと続けば。MCでもメンバーが口々にそう言った。まだまだやりたい。終わりたくない。会場にいる全員が同じ気持ちで、だけどずっとなんて続くはずがないとも誰しもが思っていて。そこから現実に引き戻されたのが、風磨くんへのお手紙だった。

どの程度全員で書いたのかはわからないけれど、主として書いたのはやすいくんだと思った。風磨を褒めるようなその手紙の最後に置かれた言葉。「おれらも負ける気ねーからな」ああそうだ。別々の場所で頑張っていかなきゃいけないんだ。今は仲間として、一緒に最高のものを作り上げているメンバーだけど、今日が終わればむしろライバルにすら近いような存在。そして負ける気ないから。(お前も頑張れ)のその遠回しなエール。どの気持ちが溢れだしたのだろう。最高の仲間への気持ちか、近くで支えてくれる家族への気持ちか、なにがあってもついてきてくれるファンへの気持ちか。そのすべてか。手紙を読む風磨くんがどんどん涙ぐむ。

その後始まった20では、通常の演出ならば座って机に向かって何か書き物をしているところで、机に突っ伏して涙して、堪えきれず演出を捨てて、ファンへ、みんなへ、こちらへ手を伸ばして懸命に「ありがとう、愛してるよ」と歌う風磨くん。それは初めて見た姿で、それに涙する会場のファンすらもひとつの演出のようにきらきらとしていた。途中から出てきたバックのJr.も泣いている人が多かった。そんな中でやすいくんは、目を確かに潤ませながらも微笑んでいた。やすいくんは泣かなかった。すごくすごくやすいくんらしい姿だと思った。そんな涙涙の20が終わったそのあと、一度引っ込んでまいらびんしーずんではまたはしゃいだ笑顔で出てくるみんながいじらしい。けれど半ちゃんだけは大号泣していたところがまた半ちゃんらしくて、それをいじるみんなの笑顔のいとおしさが増す。


そうしてあっと言う間に本編が終わってアンコールが終わって。ダブルアンコの選曲にわたしはまた涙ぐむ。ダブルアンコは、Sexy Zoneメドレーだった。今まで本編でSexy Zoneの曲はたった一曲もやらなかった。それをここで持ってくる。わたしは、『風is a doll?の風磨くん』から『Sexy Zoneの風磨くん』へと帰っていくのを感じた。そうだこの人には帰る場所がある。それがすごく羨ましくも感じた。風磨くんは、このメンバーと同じぐらいSexy Zoneのことも大好きなんだと感じて。おれらも負ける気ねーからな、の答えな気がした。おれはここで頑張る。お前らも頑張れ、と。


最後にもう一度、おれらの名前はなんだ!と聞く。そもそもソロコンでおれらの名前を叫ばせる時点でそれは異質だ。これは菊池風磨のコンサートなのだから。けれど、まるでこれは風 is a doll?のメンバー全員のコンサートのようにその空間に存在していた。確かに風磨くんがメインで、風磨くんが一人で歌っている曲だってたくさんあるわけだけれど、必ずしもMCの中心が風磨くんであったわけじゃない。全員で歌う曲もたくさんあった。風磨くんのやりたかったこと、魅せたかったものはこれだった。だからこそ、風磨くんがみんなに愛されるんだろう。そして、そのことに(少なくともわたしの見ていた限りでは)不満を感じず全力に夏を楽しんだ菊池担のみなさんも、メンバーみんなが言っていたように風磨に似ている、のだろう。ふーいずあどーる!と叫べたこと。それがすごく嬉しかったと共に、次はこのメンバーに負けないくらいの誇らしいメンバーたちと一緒に自分達の名前を叫んでもらう自担の姿が見たいと強く強く思った。

この夏、風is a doll?は確かに存在したけれど、それは夏の暑さが見せる蜃気楼のように消えていった。全員の居場所がここではないから。けれどしっかりと、そこにいたファンの心もそして本人たちの心もその盗賊団に奪われてしまった。また、会えるかもしれないし会えないかもしれない。むしろすぐまた集まってしまったらそれこそ拍子抜けだ。もう会えない。それくらいでいい。それだからいい。でももしまた会えるなら、唸るくらい暑い夏の日に。そしてそのときには、願わくばやすいくんにも帰るべき自分の居場所があってくれればいいなと、そう思った。